はじめに
看護師国家試験というと、「合格率が低そう」「ハードルが高そう」とイメージされがちです。
しかし、難易度の高い医師や薬剤師の国家試験とは違い、看護師国家試験の合格率は例年で90%前後と比較的合格率の高いといえる国家試験なのです。
ここでは、看護師国家試験の合格ラインと、過去の合格率について詳しく説明していきます。
合格基準・ボーダーラインについて

看護師国家試験は、以下の2つの問題により評価されます。
・必修問題
・一般問題+状況設定問題
必修問題は基本的な知識や技能についての問題が出題され、80%以上の正解率を満たすことが条件の「絶対評価」です。
対して、一般問題+状況設定問題では幅広い知識が問われる問題や、状況に応じた判断力が求められる問題が出題されます。
一定以上の正答率を満たすことが条件の「相対評価」となっており、問題の難易度や受験者のレベル等、その年によって合格ラインが異なります。
必修問題と一般問題+状況設定問題のどちらかが基準に達していなければ不合格となってしまいますので、情報に振り回されずしっかりと準備と対策をしておくことが大切です。
看護師国家試験についての概要は、毎年8月頃になると厚生労働省のホームページに掲載されるので、確認しておきましょう。
近年の合格率の傾向

近年の傾向として、102回目から104回目までの合格基準を見てみましょう。
104回の試験での合格ライン
・受験者数:60,947人
・合格者数:54,871人(合格率90.0%)
・必修問題:40点以上/50点
・一般問題、状況設定問題:159点以上/248点
103回の試験での合格基準
・受験者数:58,891人
・合格者数:52,900(合格率89.8%)
・必修問題:40点以上/50点
・一般問題、状況設定問題:167点以上/250点
102回の試験での合格基準
・受験者数:56,530人
・合格者数:50,224人(合格率88.8%)
・必修問題:40点以上/50点
・一般問題、状況設定問題:160点以上/250点
この結果を見ると、過去3年の一般問題、状況設定問題のボーダーラインは60%後半~70%前半となっていることがわかります。
最も難易度が高かったと言われている第104回の試験ですが、60,947人の受験者のうち54,871人の受験者が合格しており、第103回、第102回よりも合格率の数値は上がっています。
そして、今年の2月22日に実施された第104回看護師国家試験の合格率は全体で90.0%だったのに対し新卒の合格率が95.5%、既卒の合格率が57.5%という結果でした。
既卒の合格率を下げてしまっている理由は、現役の時に比べて勉強時間を確保するのが難しくなってしまうのが原因の1つと言われています。
合格に向けての対策

看護師の国家試験は万が一不合格でも、再度受験することが可能です。
しかし、既卒の合格率を見ると新卒で合格することがベストですね。
看護師国家試験を受験できる資格を取得できる学校に通っていれば、国家試験の対策は学校で指導されると思いますが、独自で勉強する際には過去問題で勉強している方も多いのではないでしょうか。
最近ではインターネット上で過去問題が閲覧できるほか、試験対策ができるアプリなどもあるようです。
また、各予備校が看護師国家試験に対して年に数回模擬試験を行っています。
これ受けることによって、自分では気づきにくい弱点を知ることができ、本番の試験の流れも確認することができます。
模擬試験の問題は実際の国家試験の問題よりも難しく作られているので、模擬試験で合格ラインに達することができれば自信に繋がり、本番に向けての課題も見つけられる可能性があります。
自分の実力を知るためにも、模擬試験を受けてみてはいかがでしょうか。
おわりに
相対評価によってボーダーラインが変わるため、過去のデータによる合格基準に達していれば安全圏というわけではありません。
しかし、看護師国家試験は落とすための試験ではないので、看護師としての知識がしっかりと頭に入っていれば合格への道が開けることでしょう。