はじめに
一般的には高収入だと言われている正看護師の収入ですが、実際にはどのくらいの収入があるのでしょうか?
これから正看護師として働く方、正看護師へ転職しようと考えている方にとっては気になるポイントだと思います。
ここでは、正看護師の平均収入額について説明していきます。
正看護師の平均年収額について

正看護師の収入についての統計を調査した厚生労働省による平成26年の賃金構造基本統計調査では、以下のような結果が出ています。
平均月収:32.6万円
平均年収:469万円
平均賞与:78.6万円
また、勤務先の規模による年収の統計では
10~99人規模: 436万円
100~499人規模: 459万円
1000人以上~:498万円
というように、規模の大きい勤務先だと年収もやや高い傾向にあるようです。
最も高額な月収が支払われている就業施設は公立病院で平均37.9万円。次に国立病院が35万円、それ以下は34万円代で公的病院、その他一般法人、社会保険医療法人、医療法人、個人病院と続いています。
さらに、年代別の収入を見てみると
正看護師の性別・年齢別平均月収
20代前半:(男性)28.0万円(女性)27.5万円
20代後半:(男性)31.4万円(女性)31.4万円
30代前半:(男性)32.8万円(女性)32.1万円
30代後半:(男性)34.2万円(女性)32.9万円
40代前半:(男性)34.2万円(女性)34.3万円
40代後半:(男性)41.9万円(女性)35.6万円
50代前半:(男性)37.0万円(女性)35.8万円
50代後半:(男性)37.0万円(女性)35.6万円
と、男性の月収のピークは40代後半、女性は50代前半のようです。
男女とも40代後半~50代前半まで、年齢が上がるのと比例して月収・年収ともに上がっていくのがわかります。
また、年齢別で年収をみてみると、20代前半で276.4万円、そこから年齢とともに増えていき、40代後半になると491.2万円にまで上がります。
これは、女性会社員の平均年収337万円と比べると100万円以上の差がでることになります。
勤務先によっては育児手当、皆勤手当など基本給に加えて支給される独自の手当がつく場合もあるので、あらかじめ給料規定や就業規則を確認しておくと良いでしょう。
収入が異なる勤務形態について

正看護師には、さまざまな勤務形態がありますが、ここでは日勤・夜勤の給与について触れていきます。
日勤常勤の正看護師の平均年収は320~360万円程度となっており、他の雇用形態も含めた全体の平均年収が469万円ということを考えると、100万円程度の差がでています。
これは、日勤のみのために夜勤手当が付いていないことが大きな理由と言えます。
夜勤手当の平均金額は、
・三交代制(準夜勤):約3,800円
・三交代制(深夜勤):約4,600円
・二交代制(夜勤):約10,200円
この夜勤手当がついてこそ正看護師の給料は高額となります。
医療機関によって月の夜勤回数や手当が異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
産業看護師の収入
病院などの医療機関ではなく、一般の企業に勤務する看護師を産業看護師といいます。
社員の健康管理を行う企業内の医務室などの勤務や、治験コーディネーターなど企業内で幅広く活躍する仕事です。
勤務先の企業の規模によって異なりますが、平均的な年収は400万~800万円程度で、土日祝日に休みが取れることや残業がないといった待遇面の良さからも企業に就職しようとする看護師が増えているようです。
おわりに
こういったデータを見ると、正看護師の給料はかなり高い水準にあるといえます。
しかし、高収入とされる他業種との給料の差は、20代でほとんど差がなくなり、30代からは大きく離されてしまいます。
これは、看護師の昇給が異常なまでに少ないからです。
そして日勤と夜勤を行うとなれば生活リズムも乱れるうえに、人の命を扱う職業として責任の重さも伴い、精神的・肉体的にもかなりの負担が伴います。
近年では看護師不足が深刻化していることもあり、現場の看護師の負担がますます増えていく可能性もあります。
そうした理由があったうえでの給与額ということになるので、一概に正看護師が高収入とは言えないかもしれません。